伊藤忠記念財団子ども文庫助成贈呈式に出席してきました

先週の金曜日、私と事務局の増岡さん二人で、東京、青山の伊藤忠商事本社でおこなわれた伊藤忠記念財団文庫助成の贈呈式に出席しました。今年はイタリアのりんご文庫、イギリスの汽車ぽっぽ文庫、オーストラリアのスワン文庫とかぶと文庫の4つのIC文庫が100冊助成を受けました。それぞれの文庫のスタートに勢みがついたことだろうと、嬉しく思いました。

 

贈呈式は、理事長であり現伊藤忠商事代表取締役会長である小林さんの挨拶に始まり、続いて選考委員長の助成選考経過報告が行われました。今年は応募総数が213件で受賞が92件、その内海外からの応募は65件、受賞は27件。今年度から日本人学校や補習校に向けての助成が始まり、海外27件中20件がこれらの学校への助成でした。公的性格を持つ日本人学校からの応募がこれからますます増えていくだろうということに、ちょっと戸惑いを覚えました。と同時にすべてを自分たちで担っている世界各国の文庫活動状況や文庫からの声を財団へ伝え、もっと理解を深めていただけるよう努めなくてはと思いました。

 

さて贈呈式の最後はハイライトでもある受賞者代表の挨拶です。子どもの本購入費助成、病院施設子ども読書支援/購入費助成、100冊助成、子ども文庫功労賞受賞のそれぞれの代表者が受賞の言葉を3分間で語ります。壇上からのスピーチは苦手だとおっしゃる方がほとんどでしたが、みなさん素晴らしいスピーチをなさいました。文庫活動という同じテーマではあるのに、それぞれが実体験をベースに個人的に考えた事を率直にあらわされるからでしょうか、スピーチは新鮮であり感動的でした。

 

巷では4つの部門でアカデミー賞をとった「英国王のスピーチ」が大変な評判になっています。私はあまり知らずに出かけ、すぐに惹き込まれ、最後のスピーチではすっかり感動してしまいました。欧米で確固たる位置をしめている「スピーチ文化」に改めて思いを巡らせ、良いスピーチとは何かと考えました。良いスピーチと思われる理由はいろいろあるでしょうが、ひとつには考えがまとまっていること、そして自分の生きた言葉で語られていることではないかと思いました。スピーチはそもそも自分の心の中に言いたい事や考え、感情、そういうものが何となく形作られてきて、それを言い表すのにふさわしい言葉とか文の形とか、言い方、スタイルを、ああでもない、こうでもないと吟味しては練り直し生まれていくものです。壇上でスピーチをされた方達も、きっと何度もなんども自分に問い直し、考えや感情を整理し、いくども推敲してやっとまとまったものを手にあの場に立たれたのだと思います。そうやってつくりあげたスピーチには自ずと感情がこもるものですから相手の心に届き、さらには聴衆の身体を循環してパワーとなって会場を満たしていくものなのだと。贈呈式に続いて行われた懇親会が心温まる出会いの場となり、文庫活動を担う多くの方々をパワーアップしていったことは言うまでもないことです。(代表 丸山明栄)