こどもの本

みどりのゆび

岩波書店 2002年 672円
岩波書店 2002年 672円

モーリス・ドリュオン著 ジャクリーヌ・デュエーム絵 安藤次男訳

 

かれこれウン十年前の小学生の頃に手にしてすぐに夢中になりました。主人公チトの恵まれた境遇、庭師との出会い、「みどりのゆび」という類まれな才能を発見し、それを使って次々に起こる奇跡、小学生の心をくすぐるものばかりです。

「みどりのゆび」という言葉は、園芸に才能のある人を指すそうです。チトが触れると何もないところからどんどん植物が生えてきて緑や花でいっぱいになってしまうのです。これで暗くわびしい刑務所や病院などを次々と変えていきます。

しかし一方で、チトの住む町は大砲を作る町、そして父はその大砲工場の経営者であり、兵器商人なのです。自分の恵まれた生活はそんな背景に支えられていることを見せつけられ、チトは悩みます。そんな中、戦争が起こり、チトはある決心をします・・・。物語もさることながら、美しい挿絵も魅力のひとつです。ぜひ手にとってご覧いただきたいと思います。フランスに住むことになり、フランス語が身近に

なって初めてこの本がフランス語で書かれたものであることを知りました。ぜひ原書を手に入れてみたいと探しましたが、意外と大変だったのはこの本がもう古典になっているからなのでしょうか。いつかはこの本を文庫で読み聞かせてみたいですね。(アルカンシェル文庫 佐々木晶子

 

 

「いしになったかりゅうど」モンゴル民話

福音館書店 2009年 1400円
福音館書店 2009年 1400円

大塚勇三 再話  赤羽末吉 絵

 

「むかし、モンゴルに、ハイリブというわかいかりゅうどがいました。ハイリブはとてもしんせつで、とりやけものをとってくると、じぶんだけのものにせず・・・」書き出しからハイリブの人となりが分かり、すぐにお話の世界に入り込んでゆきます。ハイリブはたまたま鶴に襲われそうになった白へびを助けたことから、鳥や獣の言葉が分かる宝の玉を手に入れます。ただ、そのことを人に話すとたちまち石になってしまうというものでした。ある日、ハイリブは獣たちの話から山が大水で崩れ村を押し流してしまうこ

とを知ります。さっそく村人たちを避難させようとするのですが、人々は信じてくれません。自分だけ逃げることはできないと、ハイリブは石になることを覚悟で話し始めます・・・若者が主人公のこの昔話も『スーホの白い馬』同様、深い印象を残す絵本になっています。是非子どもたちに手渡してあげてください。(運営 秋元澄子

 

「和の行事えほん1 春と夏の巻」「和の行事えほん2 秋と冬の巻」 

あすなろ書房 2006年 各1680円
あすなろ書房 2006年 各1680円

高野紀子 作  

 

どこで暮らしていても、季節や行事の到来を自然と感じられるのは市場や店先だと思う。店頭の旬の野菜や果物、行事のための特別なお菓子や飾りでそれらを知るのは楽しい記憶だ。行事はいつも生活の中にあり、大人になるまでに自然と身についていく。海外生活が始まったときに、子どもに日本の行事を伝えておきたい、伝えなればいけないと感じたが、近年簡略化さ

れた行事でお茶をにごしてきた私は、自分の曖昧な記憶に愕然とした。毎年繰り返される

ことで、少しずつ知っていく行事。子どもに伝えながら自分の中にも積み重ねておきたい。

 

『春と夏の巻』は3月から8月まで、『秋と冬の巻』は9月から2月までの行事や季節の

話題が記載されている。(運営 海保由子

 

「ロバのシルベスターとまほうの小石」

評論社 2006年新版 1365円
評論社 2006年新版 1365円

ウイリアム・スタイグ(文・絵) 瀬田貞二(訳) 

 

ロバの子シルベスターは願いを叶えてくれる小石をみつける。通りかかったライオンに驚いた彼が願ったのは岩になること、そして岩になってしまう。とうさんとかあさんはシルベスターを探し、秋が来て、冬になり、春になり・・・。

ロバたちの表情からスタイグの家族を思う温かい心が伝わってくる。お話を聞いているうちに、子どもたちはすっかりこのお話の世界に吸い込まれていくようだ。(運営 松浪エリ子)